マイワールド
一時間目。
「知っている人も多いと思いますが、
今日の朝、レミの机にチョークの粉が振りかけられていました。
紙を配ります!
無記名でいいので、
このことについて知っていることを書いてください。
ない場合は、『知りません』でいいです。」
紙が廻ってきた。
『知りません』
最初はそう書いたが、消した。
どうしたらいいのかわからない。
『友達だから』という理由で、知らないふりをしてもいいのだろうか。
私は別に、レミのことを特別嫌っているわけではない。
けれど、恵子に嫌われるのは嫌だ。
だけど――。
悩んだあげく、本当のことを書いてしまった。
『あかりがやったと聞きました。
実際にやったのはあかりだけのようですが、
あかりの味方をして、その話を楽しんでいる人もいるようです。
私が書いたということは、絶対にバラさないでください。』
ため息が出た。
「じゃぁ、裏返しにして、
後ろから集めてきてください。」
私は裏返しにして、
同じ列の人の紙を回収した。
「ずいぶん長く書いてたみたいじゃん。
何て書いたの?」
戻ってきた私に、恵子が言った。
「『証拠もないのに人を疑うのは良くないです』って。」
「ネーヤア最高!」
嘘をつくのには、かなりの体力がいるようだ。
私の口から、大きなため息がもれた。