チョコレート大作戦!
気を取り直して一人購買に向かった真由。
いつも買う、好物の『チョコぱん』を探す真由。
そして目に入ったのはその『チョコぱん』が今まさに売り切れようとする姿。
「あぁっ!私のパンっ!!」
「え?」
そこの最後のぱんを持ったのは真由の悩みの種。
「さ、佐藤優斗…。」
真由は思わず後ずさり。
真由としてはもっとも会いたくなかった人物だ。
「あ、真由ちゃん。こんにちは。」
そんな真由の気持ちも知らず、にこやかに微笑む優斗。
「…。」
優斗をにらみつける真由。
「も、もしかして怒ってる?」
戸惑った様子の優斗。
「…。」
それでも真由は無言。
なんで話しかけるの…?
真由はうつむいた。
「えっと、どうして…かな?」
優斗は真由をの表情を確かめるように中腰になる。
「…自分の手に胸を当てて考えればっ!」
真由は泣きそうで、顔は真っ赤だった。
そして自分の言い間違えに気がつかない。
『手に胸』ではなく、『胸に手』である。
「…。」
それに気がついた優斗は黙り込む。
そして小さく微笑む。
さも愛しげに真由を見つめる。
そして何事もなかったように『胸に手』を当てる。
「えっと…?」
「…。」
真由は今にも涙があふれそうだ。
下唇を強くかんで、こらえている。