チョコレート大作戦!



「もしかして、昨日、無視したこと?」


優斗の心当たりはただ一つ。


そして優斗は嬉しそうに笑う。


「…なっ、なんで、なんで笑うのよぉ…。」


とうとう真由は一筋の涙を流した。


「だって…、真由ちゃん、僕のこと気にしてくれてるよね?」


にくらしいくらいに真っ直ぐな優斗の笑顔。


「!」


真由は目を見開く。



「一瞬でも、真由ちゃんが僕のこと考えてくれてるのが、すごく嬉しいんだ。

 …無視して、ごめんね。」


どこまでも偽りのない優斗の言葉。


そのことは真由にも当然分かった。


「だ、誰がっ!アンタのことなんて気にしてっ…!」



優斗くんが、冗談で告白したんじゃないって、分かってる。


…けどっ!!


自信がない。


泣き顔なんて見られたくない。



真由は優斗から逃げるようにかけて、階段を上りかけた。



「真由ちゃん!」


中段で優斗が真由を呼ぶ。


「なっ、…!?」


声と同時に投げられたもの。


「そのパン、好きなんでしょ?」


投げられたのは、真由の大好きな『チョコぱん』


「…。」


思わず優斗を見てぼーっとしてしまう真由。


「やっぱりチョコなんだね…。」


ぽつりとつぶやく優斗。


「…この前言ったとおり、真由ちゃんのこと、本当に好きだから。

 そのパン食べて、機嫌直して。」


優斗はひらひらと笑顔で手を振った。


まさに皇室さながらの振り具合。


真由は振り返さずに階段を上った。


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