チョコレート大作戦!


なかなか作戦が成功しないので焦った真由は、
とうとうヤケになって叫んだ。


「彼氏がほしいっ!!」


廊下を歩いていたほとんどの人が真由に注目した。


すると、ちょうど廊下を曲がってきた男子が驚いたように真由を見た。


「え?」
「あ!」



この人!たしか…王子!



思わず反応してしまったその男子は、
真由の高校の王子様的存在、佐藤優斗(さとうゆうと)だった。


今時、しかも高校生にもなって『王子』なんて言うのはおかしな事だが、
佐藤優斗の天然の優しさやまぶしい笑顔は王子と言うに値するものなのだ。


「あの…。」


「はい?」


その『王子』が真由に声をかける。


「僕で良かったら…!」


「ほぃ?」


佐藤優斗はキラキラした笑顔で真由を見つめた。



今なんて!?



「好きです、僕の、彼女になってください!」


優斗は律儀に頭を下げた。


騒ぎだしていたギャラリーも一瞬で静まった。


「じ…。」



真由は真っ赤な顔で言葉を紡ぐ。



「冗談じゃない!からかわないでっ!!バカぁっ!!!!」


廊下に響き渡る真由の声。


悲しそうな顔で頭を上げる優斗。


怒った様子でその場から離れて行く真由。



何あれ!?


どこが『王子』なのぉ!!


優しい人って聞いてたのに…!


冗談にもほどがある!!


わたしだって、そんなにバカじゃないんだから!!!



真由は見事に佐藤優斗を振ったのだ。



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