ショートショートの林
リングの中央でレフェリーが手招きしている。

とりあえずそれに従い僕は中央へと駆け寄る。

見れば青コーナーの彼も同じように不思議そうな顔でこちら側に向かっていた。

「ルールを説明します」

そう言ってレフェリーは両手を僕らに向けて広げた。

「競技種目はボクシング。KOまたはTKO、もしくは3ダウンでの決着とします」

やはりボクシングをさせたいらしいが、僕は格闘技らしきものの経験は皆無、当然ボクシングなんてしたことはない。

「ただし!お互いにポイントを5ポイントもって闘います。

 ゴングが鳴ったら、セコンドの指示に必ず従って動くように。指示を無視すると1ポイントずつ減点します。

 ポイントがなくなったら反則負けとします、質問は…ありませんね?」

マイク越しにレフェリーの声が会場に響く。

疑問はたくさんあったけれど、ありませんねと言われてはどうしようもない。

僕が少し間を空けて頷くと、会場からはまたすさまじい歓声があがる。

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