ショートショートの林
「あなたは、最後までセコンドの指示に従った!相手の動きは分かるにもかかわらずです!」

「は、はぁ?」

「それに引き換え、鈴木さんは自分の判断であなたを倒した!」

「え、ええ」

「完璧です。さあ、チャンピオン!会場に向かって、今回の出場理由を大きな声で!」

ん?彼はなんと言った?出場理由?なんで今それが必要なのだろう?

「さあ早く!どうぞ!」

アナウンサーの剣幕に押されて、僕はとりあえずマイクに向かい

「え、っと、姉が勝手に応募しまして」

と言った。

途端、ドーム会場の中は今までで最高の歓声に包まれた。

「え?え?」

折れるほどに首を傾げて悩む僕に、アナウンサーは告げた。

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