身代わり姫
「ナマタ様、お綺麗な奥方で羨ましいですなぁ」
「え? あ、ああ。本当に、嬉しい限りですよ」
話しかけてくるパーティーの客達をあしらいながら、グラディス王女の消えた中庭に意識を寄せていると、王女の乳母が恐ろしい顔をして後を追うのが見えました。
何だろうか?
王子は何か感じるものがあり、そっと中庭に向かいました。
中庭の奥に、足音を消して踏み入ると、木陰に身を隠している乳母の姿がありました。
中庭の東屋に腰掛けて、月を見上げているグラディス王女を、窺うようにしています。
あやつは何をしているのだ? と王子はその様子を息を潜めて眺めていました。
グラディス王女は、自分を窺っている者が二人もいるとは知らず、月明かりに照らされながら、ぼんやりしています。
乳母が、ドレスの下に隠していた小箱の蓋を開けました。
すると、その中から一匹の毒蛇がするすると這い出てくるではありませんか。
毒蛇は意志があるように、ゆっくりとグラディス王女に近づいていきます。
月を見上げているグラディス王女は、気づく様子がありません。
「え? あ、ああ。本当に、嬉しい限りですよ」
話しかけてくるパーティーの客達をあしらいながら、グラディス王女の消えた中庭に意識を寄せていると、王女の乳母が恐ろしい顔をして後を追うのが見えました。
何だろうか?
王子は何か感じるものがあり、そっと中庭に向かいました。
中庭の奥に、足音を消して踏み入ると、木陰に身を隠している乳母の姿がありました。
中庭の東屋に腰掛けて、月を見上げているグラディス王女を、窺うようにしています。
あやつは何をしているのだ? と王子はその様子を息を潜めて眺めていました。
グラディス王女は、自分を窺っている者が二人もいるとは知らず、月明かりに照らされながら、ぼんやりしています。
乳母が、ドレスの下に隠していた小箱の蓋を開けました。
すると、その中から一匹の毒蛇がするすると這い出てくるではありませんか。
毒蛇は意志があるように、ゆっくりとグラディス王女に近づいていきます。
月を見上げているグラディス王女は、気づく様子がありません。