身代わり姫
もしやあの乳母、主である王女を殺す気なのか?

ナマタ王子がとっさに駆け寄ろうとした、その時でした。
毒蛇がその鎌首をもたげ、グラディス王女へと飛びかかりました。

月夜にグラディス王女の悲鳴が響き、次に稲妻のような光が一瞬走りました。


「レオノーラ!? 大丈夫か!」


グラディス王女の胸元から、小さな生き物が飛び出してきて雷を放ち、蛇を打ち殺したのです。


「ちっ。お前、いつの間にそんな魔物を飼い慣らしてたんだい!」


乳母がナイフを構え、グラディス王女に飛びかかりました。


「きゃああ! シエラ、何をするの!?」


「お前さえ死ねば、グラディス王女は助かるのさ!」


逃げ惑うグラディス王女を、乳母はナイフを振り回して追いました。


「止めろ! それ以上するとお前も雷で打つぞ!」





「お前たち! 城内で一体何をしておる!」


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