身代わり姫
「オレはレオノーラを助けるよ。処刑なんて、絶対にさせるものか!」


「リュイ……」


「オレは今から、上手く逃げれるように城内を調べてくる。
レオノーラは、オレを信じて待っててくれ。いいな?」


リュイはそう言うと、ぱちんと姿を消しました。



「リュイ、気をつけて……」


レオノーラは小さな声で呟き、小さな精霊の消えたあたりをじっと見つめていました。


リュイ、せめてあなただけでも無事に逃げ出せますように……。


牢は、灯り取りの窓一つない、真っ暗闇です。


リュイの安否を気づかいながら、
疲れ果てていたレオノーラは、いつしか寝入ってしまったのでした。



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