身代わり姫
「一緒に捕らえた乳母が、この娘を悪魔の娘と呼んでいました。
もしや、何か変な術でも使われましたか?」


ナマタ王子は優しい声で大臣に言いました。
大臣はその言葉に、顔を輝かせて調子を合わせました。


「そう! そうなのです、王子。この者は妖しげな術を使って、私に牢から出させようとしたのでございます!」


「大臣様、そんな……」


レオノーラが口を開こうとすると、大臣は鉄格子をガシャン! と激しく蹴りつけて言いました。


「何て娘だ! もう操られんぞ! さっさと処刑されてしまえっ」


「大臣、この娘に近づいてまた術をかけられたら大変ですよ。さ、早くここから去りなさい」


王子がやんわりと言い、それを聞いた大臣は媚びた笑いを浮かべながら、家来に「帰るぞ!」と怒鳴りました。


「では、これにて失礼致します。王子もこの娘にはお気をつけ下さいませ」


大臣はぺこぺこと頭を下げながら、逃げるように牢屋を後にしました。


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