身代わり姫
え? と問い返すような顔をしたレオノーラに、王子は問い続けました。


「教えてくれないかな? あの魔物との出会いを。どこで出会った? あの魔物はあの姿でいたのかい? 何か言っていなかった?」


「あの……、それはどういう事でしょうか?」


訝しげに眉をひそめたレオノーラが聞くと、王子は苛立ったように鉄格子をガシャンッと揺らしました。


「……王子のオレが聞いてるんだ。聞かれた事だけ答えろよ」


王子は静かに、ゆっくりと言いましたが、その声色は怒りを帯びていました。


「オレはあの野郎が、どうやって水晶から出たかって聞いてんだ。さっさと言わねーと、今すぐ殺すぞ」


え?
王子の豹変ぶりに、身を竦ませて怯えていたレオノーラは、王子の綺麗な顔を見て言いました。


「あ、あの。何故、王子様はリュイが水晶に入っていた事を御存知なのですか?」


王子の唇がぐにゃりと歪みました。冷たい瞳に静かに炎が揺らめいたように見えました。


「馬鹿のくせにごちゃごちゃとうるさい女だな。聞かれた事に答えないなら、今すぐ殺すと言っただろう?」


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