身代わり姫
「なんと! シエラがレオノーラを殺そうと? それで、レオノーラは捕らえられたのかい」

キャンディの後にホットチョコを飲んでいるリュイに、クッキーを出してあげながら、パメラが顔をしかめました。


「近いうちに王宮にもビーワ国から使者がくるだろうね。しかし、困った事になったもんだ。
レオノーラの処刑は後3日後なんだね?」


「ああ。一体、どうしたらいい?
オレはレオノーラを処刑になんてさせないぞ。絶対に助け出すんだ」


真剣なリュイの眼差しを受けて、パメラはふむ、と考え込みました。

その様子をリュイは黙って見つめます。


「……王子はマチホ国に戦を仕掛けたい、そう言ったんだね?」


「ああ、でもあんな奴はどうでもいいんだよ!
今はレオノーラを助ける事が先……」


「それは、おかしいね。ビーワ国の王子は賢い方だと聞いたよ。
一度なんか戦を仕掛けようとした国王を止めて、話し合いの場を設けてね。
ビーワ国にそりゃあ有利な条件で話をまとめたんだ。
今回はマチホ国に非があるんだ。戦なんか仕掛けなくても、もっといい方法があるって事が分かりそうなもんだけどねぇ」


パメラは首を傾げてうーん、と唸りました。


「猫かぶってたんだろ。あいつ、オレのことを魔物扱いしやがってさ。いけすかねーの、なんの」


王子の顔でも思い出したのか、リュイは荒々しくクッキーにかぶりつきました。


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