身代わり姫
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パメラの家を出てから、1日が過ぎました。

リュイは、マチホ国とビーワ国の国境にさしかかっていました。


「ふー。予定通り、明日の朝には着きそうだな。ちょっと休憩していくか」


リュイは森の入り口の、楡の木のてっぺんに座り、パメラがポケットに入れてくれたいちごキャンディを、ぱくっと口に入れました。

口いっぱいのキャンディをころころと転がしながら、ぼんやりと空を見上げた時、どこからか声が聞こえました。


「なんだ? 誰かオレを呼んだか?」


きょろきょろと周りを見渡すと、隣の木の枝にふわりと立つ者がいました。


「あなた、こんなところで何をしているの? ここは妖精のなわばりよ」


「妖精のなわばり?」


「ええ、そうよ。あなたは誰? 妖精ではないけれど、妖精の香りがする。妖精と人間の香り」


妖精は、用心深そうにリュイを窺いました。


「オレは精霊さ。オレの主は人間だけど、妖精に愛でられた娘なんだ。
だから、いっつも一緒にいるオレにも主の香りが移ったんじゃないか?」


「妖精に愛でられた娘? まさか、あなたの主って、レオノーラ?」


妖精は驚いたように言い、それを聞いたリュイはもっと驚いて言いました。


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