身代わり姫
謁見室の大きなテーブルの上には、たくさんのごちそうが並べられていました。


「あー、食うぞー!」


リュアネスがテーブルにつき、レオノーラがその横に座ると、国王が入ってきました。


「リュアネス、王子は眠りから覚めんが大丈夫なのだろうな」


「ああ。悪魔もオレが封じたし、いずれ覚めるさ。そうだ、王子の部屋に、例の本はあったかい?」


「これか」


国王は古びた一冊の本を、リュアネスに渡しました。


「これこれ。この本に、悪魔の呼び出し方が書いてたのさ。オレは止めとけと言ったのに、王子は聞かなくてさ」


国王が席につき、本をぺらぺらと捲っているリュアネスに言いました。


「で、何があったのだ。私に分かるように説明せい。食事をしながらで構わん」


「やった! ほら、レオノーラも食べよう」


リュアネスは嬉しそうに言って、本を無造作に横に置き、目の前のパンに手を出しました。
一つをレオノーラに手渡し、それから自分の口に千切って放ります。


「この本は王宮図書館の奥の棚にあったんだ。調べたところ、いつあそこに仕舞われたか記録がないから、悪魔が入れたんじゃないかと思うんだけど……」


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