身代わり姫
「オレの呪いを解くには、二回オレの為に泣いてくれる涙が必要だったんだな。

で、レオノーラのおかげで元に戻ったオレを見て、あの悪魔が姿を現したから、封印したって訳。

あ、この肉おいしいな。もう一皿追加してよ」


「好きにしろ。で、お前がその娘を助けたのは、主だとか契約だとかいう話だからか」


「まあ、そういうのもあるけどさ。
自分の為に泣いてくれた、大切な命の恩人を悪魔なんかに殺させる訳ないだろう?
大体、レオノーラがいなけりゃ王子は悪魔に取り付かれたまんまだし、マチホ国と戦になってたんだぜ。国王にとっても恩人のはずじゃないか」


「しかし! マチホ国は、この国を愚弄したんだぞ。偽物の王女を寄越したではないか。それは許されん」


目の前のお皿に夢中の魔術使いに、キシル国王は眉間にシワを寄せて言いました。


「そのグラディス王女だけどさ、やっぱり悪魔に呪われてるんだ。
オレも見たけど、酷い有り様だよ。オレが国王なら、あんな娘を出せないね」


追加した肉料理を嬉しそうにぱくつきながらリュアネスが言いました。


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