身代わり姫
食事を済ませて離宮に戻ると、一人の妖精がレオノーラたちを待っていました。


「ああ! レオノーラ、待ってたのよ」


「妖精さん! さっきはありがとう。お陰で助かったわ」


レオノーラと妖精は抱き合うようにして、その再会を喜び合いました。


「悪魔が出てきた時は死ぬかと思ったわ。まさかリュイが人間だったなんてね」


妖精は、レオノーラの後ろに立つリュアネスを見て言いました。


「魔術使いだって分かってたら、もっといい助けかただってあったかもしれないのに。黙ってるなんて、酷いわ」


「黙ってたんじゃなくて、覚えてなかったんだよ」


ぶすっと答えるリュアネスを無視して、妖精はレオノーラの周りをふわふわと飛びまわりました。


「ああ、あの時のまま、あなたは綺麗な心の持ち主のままね。嬉しいわ。
私との約束の為にあなたが処刑されると聞いた時には、胸が潰れるかと思ったのよ」


「そんなこと、約束を破るなんて出来ないわ。でも、だからって私、嘘をついてしまったから……」


レオノーラはふっと目を伏せました。

グラディス王女の姿が、脳裏をかすめたのです。


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