身代わり姫
その夜、リュアネスとレオノーラは国王に呼ばれました。


「なに? レオノーラを、マチホ国に返すって?」


「そうだ。わが国を騙した娘に、これ以上王宮をうろつかせる訳にはいかん。
王子を助ける一端を担ったとは言え、それを見ていないものは多い。
悪魔なぞ信じている者だとて少ないのだ」


「不満がでる前に、出て行けってことか」


国王はこくりと頷きました。


「お前は酷いと言うかもしれんが、その娘がいると、余計な火の粉になるやもしれん。
すまんが明日にでも出て行ってくれるか」


マチホ国までの馬車は用意しよう、と国王は言い足しました。


「ありがたい事でございます。私、マチホ国に戻れるんですね」


レオノーラは頬を染めて喜んで言いましたが、逆にリュアネスは渋い顔をしました。


「国王、そりゃレオノーラを殺す事に変わりないだろ」


え? とレオノーラは眉を寄せたリュアネスの横顔を見上げました。


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