身代わり姫
「身代わりに仕立てた娘がバレて帰ってくるなんざ、マチホ国王が許さないだろうよ。レオノーラはビーワ国の国境を越した瞬間に、殺される」


レオノーラは顔色を変えて息を飲みました。
キシル国王は気まずそうに俯き、仕方ないではないか、と呟きました。


「ここには置いておけん。この娘は目立ち過ぎるから、隠しておく訳にもいかんだろう。マチホ国に戻すしか……」


室内はしん、と静まり返りました。
どの位時間が経ったのか、リュアネスが頭をぽりぽり掻きながら言いました。


「……オレも一緒に、マチホ国に行くよ。
国王、質素な造りの馬車を一台用意してくれ。術を施しつて行くから簡単には気付かれないだろうし、万が一の場合は、オレがどうにかする。
レオノーラ、パメラの所へ行こう? 3人で考えれば、いい案も浮かぶさ」


「パメラ様……」


レオノーラは、無愛想で優しいお師匠様の顔を思い出して、胸が暖かくなりました。

パメラ様、パメラ様なら何とかしてくれる。



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