身代わり姫
「妖精の長老に聞いたのさ。
悪魔の呪いで美しさを奪われた人間には、妖精から美しさを分け与えてもらうしかないってね。

でも妖精ってのは心の清らかな人間にしか、そんな事はしない。現に妖精の国に、グラディス王女に分け与えてもいいなんていう奴は1人もいなかった」


リュアネスはレオノーラの頬にかかる一筋の金髪を指で払って続けました。


「となれば、グラディス王女に美しさを与えられるのは、君しかいないのさ。妖精も、君にそれを言わなくてもいいって反対したよ。
でも、このままじゃ君はどこにもいられないし、一生グラディス王女に罪悪感を感じて生きるだろう?」


レオノーラは、複雑そうなリュアネスの瞳を見ながら言いました。


「ええ。私、王女が助かるなら、こんな美しさはいらない!」


リュアネスは困ったように笑いました。


「全く、これじゃあオレが悩んだ意味がないじゃないか。
君ときたら、世界中の女の子が欲しがるものを、あっさりといらないなんて言うんだから」


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