身代わり姫
「その魔術使い如きに頼らないと、あんたはずっとそのまんまだぜ。
さあ、元に戻りたかったら、行きな」


「魔術使い様、それはグラディスには酷でしょう! 召使いを呼ぶからそれに拾わせましょう」


国王が慌てて止めましたが、リュアネスは頑として譲りません。
天蓋ベッドをひたと見つめて言いました。


「これは、あんたのワガママから引き起こったことだ。行くんだ」


ベッドから毒蛇が投げつけられましたが、リュアネスはそれを杖で軽くあしらって言い続けます。

「別にオレはあんたがそのままでも構わない。いわば好意で来てるんだ、どうする?」


低いうなり声がベッドから響きました。それからしばらくして、かさりと音がして、ベッドに手がかかるのが見えました。


「ふん。行く気になったか」


今や醜い老婆になったグラディス王女が、ゆっくりと震えながらベッドから降り立ちました。

リュアネスを睨むようにして言います。


『……これで私が助からなかったら、お前をとり殺すからね。覚えておくのね』


「まずは宝石を見つけてから言うんだな」


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