身代わり姫
レオノーラは、呆然と見ているグラディス王女の前で、潜っては息継ぎをし、池の底をさらうように探しました。


「レオノーラ、君が探してちゃ、オレが言ってる意味がないんだけどな」


「リュイったら、リュイったら意地悪だわ! まさか本当に王女様に探させようとするなんて」


困った様子のリュアネスに、レオノーラは息継ぎの合間に文句を言い、何度も何度も池の底をさらいました。


『お前、何で私の為に、そんな事をするの?』


グラディス王女が震える声で言い、レオノーラは自分の頭にのった水草を払いのけながら答えました。


「王女様が辛い思いをされているのは、私にも責任があります。
それなのに、黙って見ていられるはずありません」


頭に水草を絡ませ、泥を顔中につけて微笑むレオノーラの顔を見て、グラディス王女はぱっと顔を背けました。


「うーん、見つからないなあ。どこかしら?」


レオノーラはそんな王女の様子に気がつかずに、またとぷんと潜りました。


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