身代わり姫
ゆっくりと光が消えていき、眩しそうに目を細めていた国王が、喝采の声を上げました。


「グラディス! グラディスが元に戻った!」


ぎゅうっと目を閉じていたグラディス王女は、そっと目を開け、自分の手のひらを見ました。
真っ白くてぴちぴちした手のひら。その手のひらで触れた頬は弾力があります。


「きゃあ! 戻ったわ! 私、戻ったのよ!」


涙を流して喜ぶグラディス王女の横で、一人の少女が笑っていました。


レオノーラです。
赤い髪に、そばかすが少し浮いた肌。
妖精の祝福を失った、レオノーラです。



けれど、レオノーラは大喜びしている王女を見て、幸せな気持ちでいっぱいでした。


よかった。本当によかったわ。
王女様が、無事に元に戻ったのね。


「……レオノーラ、さあ、池から上がりなよ」


リュアネスが池の縁に座り、手を差し出しました。


「ええ。ありがとう、リュイ」


レオノーラはその手を取って、にっこり笑いかけました。


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