身代わり姫
その夜、王宮では盛大なパーティーが催されました。

ビーワ国に嫁いだはずのグラディス王女が、いつお戻りになったのかねぇ?

訝しんでいた人もいましたが、久しぶりに姿を見たグラディス王女はやはり美しく、みんな口々に褒めそやしました。


グラディス王女は以前と比べて傲慢さが影をひそめ、にこにこと優しい笑みを浮かべています。


一体何があの王女様にあったんだろうね、まるで別人じゃないか!
グラディス王女のワガママを知る者には、感嘆の溜め息がこぼれました。


「皆様、今日は来て下さって本当にありがとう。ありがとう」


グラディス王女は会う人毎にそう言い、国王はしばらく見せることのなかった笑顔を振りまいていました。


そんなグラディス王女を助けた、名誉ある魔術使いと1人の娘は、煌びやかな王宮ではなく、静かな湖のほとりにいました。

パメラの家の前の湖に写る満月を眺めながら、2人は並んで座って談笑しています。


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