身代わり姫
翌日のパーティーは、グラディス王女にとって人生最悪のものとなりました。


妖精の涙を見た人みんなが、


「これが、レオノーラ殿が妖精からもらい受けた宝石ですな」


と言い、レオノーラの話をうっとりと始めるのです。


挙げ句に、ユリウスは大臣の娘と結婚を決めたと言うではないですか。

あんな太っちょの鈍くさい娘のどこがいいの? グラディス王女は、ユリウスに寄り添って笑う大臣の娘をぎろっと睨みつけました。


ああ、最低最悪よ。私の為のパーティーなのに、まるで私が主人公じゃないわ。


不機嫌になったグラディス王女は、誰がみても分かるくらいに表情を変え、みんながそれに気づいて、しまったと思った時には、グラディス王女はもう会場を飛び出していました。


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