★エスコイ★






「…………っえ?」



背中にはふわっとした
暖かい感触。



「……誰がばかだよ…。」



「――――っっ!」



なんで……?




「や…だ、離してっ」


「無理。」


「なっ…」



『無理。』


その秋くんが言った
一言に私の心臓は大きな音をたてた。



こんなん心臓保たない…



あたし…

さっき秋くんに好きって…


「ねぇ…さっきなんて言ったの??」



耳元で囁かれた言葉に
自然と肩がぴくっと動く




「さ…さっきって?」


「知ってるくせに。」


「…っ」


「宮坂…俺のことどう思ってるんだっけ?」


「……!?」



言えるわけないじゃんっ


てゆーか何であたしに
もう一回言わせようとするんだよッ!



「ば…ばかじゃないの?秋くんのことなんて何とも………」


「へぇ、何とも思ってないんだ?」


「そんなことっ」



いつにも増して
意地悪な秋くんにさらに私の心臓は早く動く。



もう…どうにでもなってしまえ!!



「大体!秋くんが悪いんだよ!」


秋くんに後ろから
抱きしめられたままあたしは下を向きながら叫んだ。


「自分の気持ち伝えようと思って秋くんに会いに言ったのに…っ」


私の目から再び涙が滲む。


「相っ変わらず…態度冷たいし…」



「もう…ほんと秋くんのこと分かんないんだよっ!!」



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