★エスコイ★





とうとう声を出して
泣き出してしまった私に秋くんはそっと話しだした。



「俺が態度冷たくしたのはお前のせいだから…」



「っは?!!」



思ってもなかった言葉に
私は声をあげた。



…なんであたしが
悪いわけ??



「お前が目逸らしたりしてくるから頭にきて…」



「な…にそれっ」



そりゃあ秋くんに
好きって言われてなんだか目が合わせづらくて…



目、逸らしちゃったけど…


「その…せい?」


「うん。」



うんって…


「じ…じゃあ好きって言ったこと気にするなって……」


「あれはお前が俺が好きって言ったせいで避けてくるから……」



あたし…避けたっけ…?



知らない間に避けてたかも…


「俺だってどんだけ嫌な思いしたと思ってんだよ…」


「っえ?…あ…ごめんなさい。」


結局私が謝ってしまった…


「俺も…」


―――?


「ごめん……」


「へ?」


「あの時気にするなとか言ったけど…気にして。」



………気にしてって…



秋くんはそう言うと
私の首にまわしていた腕をどけて私の前に来た。



「俺さ…」


私は目の前に立っている彼の顔をそっと見上げた。



「本気だから…」


…………


「宮坂のこと好き。」



そう言って秋くんの顔は
だんだん近づいてきて…



――――ちゅ




秋くんの唇が私の唇に

優しく触れた。








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