★エスコイ★
―――帰り。
「ちょっ、お前気持ち悪い。」
「えっ!」
あたしは秋くんと
帰れることが嬉しくて
顔がにやけていた。
彼女なんだ。
ってそう思ったら
なんだか照れくさくて。
「あっ秋ばいばーい!」
「かっこいいー」
沢山の女の子たちに
声をかけられてる秋くん。
ズキン。
いつものこと。
仕方ないよ。
秋くんかっこいいし。
実際あたしも初めの頃
あの女の子たちと
同じだったんだし。
秋くんの彼女に
なれたんだもん。
これ以上わがままなんて
だめだ。
でも……
――――ぽん。
「――?秋くん??」
あたしの頭に手を乗せて
髪をくしゃっと触った。
「な…何??」
「どうかした?」
なんで分かるんだろ?
あたし分かりやすい顔
してたかな?
「ううん!なんでもないよ!」
あたしはそう言って
秋くんに笑いかけた。
「ふぅん、何かあったら言えよ。」
「う…うん…」
優しい秋くんに
どきっとしてしまう。
でもね、
秋くんに好意を持ってる
女の子たちとは話してほしくない。
なんてわがまま
言えるわけないよ。