★エスコイ★




カチャ。


「相変わらず誰もいないねー!」


茜は人が誰一人いない
屋上を見回した。


あたし達はフェンスに
もたれかかって
お弁当を広げた。


「わ!加奈の唐揚げ美味しそう!」



「…あ…今日はお母さんが作ってくれたんだ。」



ダメだ。

さっきの光景が頭から
離れない。


「加奈、私は秋くんにちゃんと言ったほうがいいと思うよ?」


茜はあたしの心を
見透かしたようにそう言った。


「でも…秋くんに迷惑かけたくないし…」


わがまま言いたくない。


「加奈さぁ、秋くんに付き合ってもらってる。とか思ってない??」


「え?」


「加奈は彼女なんだよ?」


あたしは秋くんの彼女…


「そんで秋くんはあんたの彼氏!」



どきん



「何をそんな遠慮する必要あるの??」



…遠慮。


「秋くんだって、加奈が自分の気持ち言ってくれないと悲しいと思うよ?」


茜の一言一言が
心に突き刺さった。


だってほんとの事だし。


そっか…私はもう秋くんの
彼女になったんだもん。


茜の言うとおり
遠慮する必要なんてないんだ。



「茜、ありがとう!」


「まあ、あたしと良輔を見習えってことだよ♪」


………どーゆー事だよ。




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