やきもち王子
美和がぽつぽつと小さな声で話し始めた。
−−−……
今日の朝、
美和は光汰くんにチョコを渡すために下駄箱で驚かそうと待っていた。
でも光汰くんが中々来ないので、諦めて
下駄箱の中に入れようとしたら、光汰くん
の下駄箱にはすでに別の誰かがチョコを
入れていた。
この辺りから美和は、泣き出しながら話していた。
「ダメだって、…っわかってたの……
でも、そのチョコみてたら……心の中黒くなって、……
そのチョコ、………下駄箱から抜いたの」
美和の悲痛な言葉にわたしの心臓がどくん
とはねた。
「……そしたら、光汰がきてっ…、
何してんのって……、そんなことしちゃ
駄目だろって……!」
み、わ……
わたしは美和の手をぎゅっと強く握った。