やきもち王子
何も言わず、優しく抱き締めて
くれる秀の心臓の音を聞いて
たら不思議と涙は止まった。
「落ち着いた?」
わたしの顔を覗き込む秀に
頷くとニッコリと笑顔になった。
いつの間にか皆は
いなくなっていた。
そんなに長い間抱き合ってたっけ……?恥ずかしいなぁ//
顔を赤くして俯いている
わたしの左手首を掴んで、
「皆のとこ行こう?」
と秀が手を引いた。
校庭に出るとみんなが別れを
惜しむように写真を撮っていた。
「はるー!!早く!!」
美和が遠くからわたしを
呼ぶ声がした。