やきもち王子
恥ずかしすぎるシーンをカットして!と
必死に頼んでも美和は全然聞き入れて
くれない;;
「秀ー;
秀も美和に言ってやってよ!!」
秀はじっと台本を見ている。
その表情は固い。
「……俺的にはこの、
兄達がお姫様の手を握るってとこが
気に入らないんだけど。」
え、そこ?
台本には兄1と兄2がお姫様に
あいさつする時、手をとりキスするふりを
するシーンがある。
「別にそこはいいんじゃない?;」
「だめ!
はるの手は握らせられない!!」
またこの人はこんなことでやきもちを;;
いつものわたしならスルーしちゃうとこ
だけど気持ちに素直な自分になるって
決めたんだもん。自分の思ってること、
ちゃんと伝えるよ!
「やきもち焼いてくれるのは嬉しいけど
劇なんだから我慢してよ?」
わたしが言うと秀は少し驚いたような顔を
してから微笑んだ。
なんか秀には全部見透かされてて
恥ずかしいなぁ……。