やきもち王子
「………ばかー!!!
秀のばかばかばかばかばか!!!」
わたしは秀の胸に飛び込んで、
ぼかぼかと秀を叩いた。
全部演技だったなんて……
「めちゃくちゃ心配したのに……
な、んで!そ…なことするのっ!?」
涙で視界が歪む。
「っていうかクラスの皆にまで迷惑かけるようなこと…するなんてっ、さいて…
「皆知ってるよ?」
秀のばか!皆に迷惑かけて最低……
って え?
皆知ってる………?
「さすがにそんなことしないよ。
クラスの皆に協力してもらって
『はるドッキリ☆』みたいな?」
秀の笑顔を見た途端へにゃへにゃと腰がぬけた。
あ、ありえない……
クラスの皆に騙されてたなんて……
あせってたのはわたしだけだったなんて…
ありえない!!
「はる、俺のこと嫌いになった?」
「……なった!!」
秀はそれは困るな、なんて笑ったけど
全然困ってない。
わたしっていつも秀に振り回されてる気がする……
もう慣れたけどね、
この人の無茶苦茶っぷりには……
でもさすがに今回は疲れました。
「さ、はる?俺たちの結婚式!行こう?」
嬉しそうに笑うこの人の笑顔を見たら
怒りも悲しみも全部どこかに行ってしまう
こういうの惚れた弱みって言うのかな?
わたしは秀の手をとり、小さく笑った。
その後わたしはちょっとした復讐として
1週間秀と口を聞いてあげなかった。
秀が必死に謝ったので許してあげたけど!
こうしてドキドキハラハラの(わたしだけが)文化祭は幕を閉じたのでした。