やきもち王子
お願いだから何も言うなー!!
爽兄はニヤニヤしながら、わたしに
小声で囁く。
「お前またフラれんのな?」
誰のせいだ!!
フラれるなんて、冗談じゃない。
秀!!
泣きそうになりながら秀を見ると、秀はゆっくりとこっちへ歩いてきてわたしの肩に
おかれたヤツの手をどかした。
……秀?
「この人誰?」
表情は険しいものの、冷静な秀の声に
爽兄は何も言わなかった。
「……お兄ちゃん」
いつも、彼氏が来ると爽兄が邪魔をした。
そしたら彼氏は、見た目だけは整った顔の爽兄を見て、怒って帰ってく。
それでおしまい。
わたしが何を言っても、誰も信じてくれなかった。
でも秀は、ちゃんと聞いてくれた。