やきもち王子
爆笑している爽兄を置いてわたしは不機嫌丸出しの秀の手を引いて部屋にかけこんだ。
「…………」
沈黙が痛い………!
恐る恐る秀の方を見ると秀はもう険しい
表情ではなかった…けどかわりにとても
悲しい表情をしていた。
その表情にぎゅっと胸が締め付けられる。
秀はそっとわたしの両手をとって
引き寄せた。
わたしの体がすっぽり秀の中におさまる。
「秀、?」
「……ごめん俺またやきもち焼いた。」
「うん…」
秀はぱっとわたしの肩を掴んだ。
秀のまっすぐな瞳が至近距離でわたしを
見つめる。
心臓がばくばくいってる。
すごく鼓動が速い……
「…はるが他の男に触られるの堪えられない。
先生もダメ、お兄さんもダメ、他の男なんてもっと駄目………」
「せ、先生も?」
秀はわたしをまた抱きしめた。
今度はぎゅーっと、強く。
「だってはるは俺のものでしょ?」
耳元で切ない声がした。