超短編集
桜
一人の老人が桜並木の道を浮かない表情で歩いていた。
老人はある会社の社長なのだが、最近は会社の経営が振るわず思うように稼げないでいた。
昔は良かった。羽振りの良い頃はこの桜並木に何本もの桜を植樹し、市民に大変喜ばれた。
しかしそれも今は昔。老人が植樹した事など誰も覚えてないだろう。
ふと一本の桜が目に付いた。
その瞬間、老人の体は稲妻が走るような感覚が襲った。
これだ。
老人はすぐに考えを実行に移した。
「やぁ、久しぶりだね」
老人の前には一人の威厳を携えた男が座っていた。
しかし男にはこの老人が誰だかわからずにいた。
はて、社交界で出会った貴族か?それとも欧州の判事か官僚か?
疑問符を掲げる男ではあったが老人は気にせず続けた。
「数十年振りだな。賠償金を払ってもらいに来たよ」
「賠償金?一体何の事だ?」
老人はニヤリと笑った。
「数十年前、君が折った桜の木の枝の賠償金さ。
お金持ちになった今なら払えるだろう?
ワシントン大統領?」
ー了ー
老人はある会社の社長なのだが、最近は会社の経営が振るわず思うように稼げないでいた。
昔は良かった。羽振りの良い頃はこの桜並木に何本もの桜を植樹し、市民に大変喜ばれた。
しかしそれも今は昔。老人が植樹した事など誰も覚えてないだろう。
ふと一本の桜が目に付いた。
その瞬間、老人の体は稲妻が走るような感覚が襲った。
これだ。
老人はすぐに考えを実行に移した。
「やぁ、久しぶりだね」
老人の前には一人の威厳を携えた男が座っていた。
しかし男にはこの老人が誰だかわからずにいた。
はて、社交界で出会った貴族か?それとも欧州の判事か官僚か?
疑問符を掲げる男ではあったが老人は気にせず続けた。
「数十年振りだな。賠償金を払ってもらいに来たよ」
「賠償金?一体何の事だ?」
老人はニヤリと笑った。
「数十年前、君が折った桜の木の枝の賠償金さ。
お金持ちになった今なら払えるだろう?
ワシントン大統領?」
ー了ー