振り向け ~強引なkiss~
 
結局、腕を放してもらえず、俺はパンダ女と一緒に帰るはめになった。


隣でいくらうるさく話をされても、その声は全く俺の頭に入ってこない。


俺の頭の中は、美保のことでいっぱいだったから。


今頃、謙二郎とどこにいるんだ?とか……。


謙二郎とキスはしたのか?とか……。


さっき、どうしてあんなに寂しそうな顔をしたんだ?とか……。


頭の中はそんなことばっかりで。


「ちょっとお!

望ぅ、ちゃんとアタシの話聞いてるの!?」


……聞いてるわけねーだろ。


お前なんかの話なんざ、聞くわけねー。


……お前じゃない。


俺の隣はお前じゃない。


俺の隣にいていいのは、アイツだけ……。


……美保だけなのに。


 
< 6 / 28 >

この作品をシェア

pagetop