振り向け ~強引なkiss~
 
学校に戻った時には、空は綺麗な夕焼けに染まっていた。


部活を終えた野球部員たちが校庭の整備をしている。


そんな光景を横目に、俺は特に用事もないくせに教室へ向かった。


ガラッと教室のドアを開ける。


窓から差し込む夕日と一緒に俺の目に飛び込んできたのは、思いがけない人物の姿だった。


「……望?」


大きな目をさらに大きく見開いているのは、紛れもなく美保だった。


思いもしなかった出来事に、思わず混乱してしまう。


「なんでいんの、お前」


もっと優しい言葉をかけるべきだって自分でも分かってるのに、いつも通りぶっきらぼうな口調になってしまう。


「こ……こっちのセリフ!

望こそ、どうして戻ってきたのよ!

帰ったんじゃなかったの!?」


「忘れモン取りに来ただけだし」


俺、嘘つき。

 
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