君と共に
「?
杏奈こそ、そんな顔むやみにするもんじゃないよ」
なんであたし?
あたしは紗結の顔をまじまじと見つめてしまった。
きっと、あたしはすごく間抜けな顔をしてたんだと思う。
紗結は、はぁ…と呆れ顔で教えてくれた。
「今、そこらの男子たち、ズキュンってきちゃったよ。」
「あそこに一人、アホみたいな顔がいるし」
紗結は指差して付け足す。
その指の先をたどって行くと。
「お疲れ」
と、こちらに歩いてくる奏太の少し後方。
そこには、ボーッとこちらを向いて立っている一仁の姿があった。
紗結はたまに毒舌だったりするし、口悪い事もあるけど。
『アホみたいな』ってゆう表現がぴったりな顔だった。