君と共に


「……杏奈………」


トントンっと紗結があたしの肩を叩く。


「ん?」


そちらに顔を向けると、紗結はあたしではなく、後ろを向いている。


「どうしたの?紗結――」
「杏奈」


「へっ?」


急に名前を呼ばれて、声のした方に反射的に顔を向けた。

あたしの視線の先。
星凜学園の制服を着た男の人が腕を組んでこちらを見ていた。

整った顔立ちに甘い微笑みを携えて。

ドキッ。
引込まれそうになる。

紗結の目なんて、ハート型になっちゃってますけど!?


「あんた誰?」


それまで黙っていた奏太が不機嫌に口を開く。

そりゃあ、彼女が他の男に見惚れたりしたら機嫌も悪くなるでしょ。



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