君と共に


でも。
どっかで聞いた事がある気がするんだよね。
心地良い程の低い声。

どこだったっけ?


「お前こそ誰?」


あたしの思考を断切るかの様に聞こえたその声は。

さっきと変わらぬ表情で立っているこの人の声で。

でも、先程よりも冷たい。
他を圧倒する様な………


「あぁーーーーー!!」


思わず、目の前の男に指差して叫んでた。

だって!
あなた昨日、あたしを助けてくれたでしょう!?

威圧的な。
でも、ちょっぴり甘いその声音で。

なんであたし気付かないのよっ。

いやいや。
一回しか聞いてないのに気付くわけないか。

まさか、こんなとこで会うとは思わないし。

あたしは完全に周りなんか無視して、パニックになっていた。


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