君と共に


それに答えるように、悪戯っぽい笑顔を向けた紗結が、口を開こうとした時、


「川崎~!」


あたしを呼ぶ声が聞こえた。

『聞こえた』なんてもんじゃない。

あまりのデカい声にあたしと紗結はビクッと肩を震わせたくらいだ。


「うるさいなぁ!」
「びっくりしたぁ」


あたしと紗結は同時に声に出す。


「そんな大声出さなくても聞こえるよ」


あたしを呼んだ人物に非難の目を向ける。

紗結は本当にびっくりしたように目を見開く。

そんな表情一つとっても可愛らしい。

あたしが男だったら、きっと好きになったんだろうなぁ。

それに比べてあたしは……


「ちょっと話聞いてやって」


そう言って、クラスメート、三宅 一仁(ミヤケカズト)が教室の扉の部分を指差した。


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