君と共に


「返して。」


絞り出すように声に出す。


「嫌だね。そんなに大事なんだ?」


レンはそう言って、鈴をチリンっと1回鳴らす。


「――返して!」


声と同時にあたしはレンの手の中へと素早く腕を伸ばす。

なのに。

レンは腕をヒョイっと上げてあたしの腕を避ける。


あんたが腕あげたら届かないじゃないっ。


この場にいる誰よりも背の高いレンは。

あたしと身長差が20cm以上あるわけで。

そんな奴にあたしがいくら手を伸ばそうが背伸びをしようが届く筈がない。


睨み付けた先でレンはニヤリと口角を持ち上げる。

心底楽しいって感じ。


「一緒に来たら返してやるって言ってるだろ?」


どこの脅し文句なのよ―――!!


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