君と共に


でも、あのストラップは返してもらわないと。

あたしはチラッと紗結たちを見る。

紗結は楽しそうにしてるし…。

奏太は……興味無さそう。

一仁は………


うわぁ…


すっごく機嫌悪そうなんですけど。


なんで一仁がそんな不機嫌なの?

う~ん……


わかんないけど、ストラップのため!


「みんなゴメンっ!先帰って!」


あたしはみんなに向って両手を合わせる。

そして、素早くレンに向き直った。


「ちゃんと返してよね。」


「ああ。」


「――おいっ!杏奈っ」


後ろで一仁の声が聞こえたけど、あたしはレンの方に歩いて行く。

だって、後ろを見たら、決心が揺らぎそうで。

今日知り合ったばっかりの奴に付いて行くって結構勇気がいるんだからね。

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