君と共に
「そ、そんな事思ってないわよっ!!」
あたしは車中に響き渡る声で叫んで、勢い良くそっぽ向く。
たぶん、顔が真っ赤になってたんだろうけど。
それを見たんだか、見てないんだか、クツクツと笑い声が聞こえる。
チラッとバックミラー越しに木山さんの様子を伺って見ると、表情一つ変えず運転していた。
無表情なのも逆に悲しくなるよ。
味方がいないー。
まぁ、でも木山さんは運転中だしね。
仕方ないよ。
でもっ!
「あんたはいつまで笑ってんのよ!?」
いくらなんでも酷いでしょ。
お腹抱えて目に涙まで浮かべて。
そんなにあたしがおかしいですか!?
「クッ……悪かったって。
そんなに握ってると潰れるぞ。」
「あ……」
無意識にさっき渡されたストラップを握りしめていたあたしは、そっと掌を開いてみる。