君と共に
ほっ。
握り潰されてなかったみたい。
忘れないうちに携帯に付けておかなきゃね。
鞄から携帯を取り出して、ストラップを付けようとしていると。
「付けてやるよ。」
ひょいっと、携帯とストラップがレンに取られた。
「ちょっ………」
「何?」
どうした?とレンは首を傾げる。
まぁ、付けてくれるって言うし、取り返すのもおかしいよね。
「…なんでもない。」
宙ぶらりんになった自分の手を引っ込めて、レンの作業を見守ることにした。
指、長いなぁ。
器用だし、これだけでみんな釘付けになっちゃうんじゃない?
「杏奈さん、真っ直ぐで良いですか?」
木山さんの声でハッと我に返る。
「あっ……えっと。
次の信号を右です。
それから―――」
どもりながらも何とか家まで説明した。