君と共に
「レンもありがとねっ」
にっこり笑って木山さんが開けてくれたドアから外に出たあたし。
冷たい風が肌に当たる。
「…あっ、……おい!!」
車の中から声が聞こえた気がしたけど。
木山さんすごいなぁと感心仕切りのあたしには届かず。
レンの言葉に首を傾げる木山さんにも気付かず。
あたしは素早くもう一度「ありがとうございました」と頭を下げて歩き出したのだった――。
すっかり暗くなった道を足早に歩きながら、やっぱり今日送って貰えてよかったなと思った。
毎日バスか電車を使わなきゃいけないけど、慣れないし、嫌なんだ。
「…おいっ!
今度は携帯ごと置いてく気か!?」
もう帰ったかなと、先程止めて貰った場所に目を向けようとしたあたしにタイミング良く届いたレンの声。
それと同時にあたしは携帯をレンに預けたままだった事を思い出した。