君と共に
「あっ……忘れてた。」
あたしの言葉に心底呆れた顔をしながらレンは携帯を差し出す。
「ありがとう。」
苦笑いを浮かべながら受け取った。
そんなあたしに。
「あんまボケッとしてんなよ」
なんて。
「………」
その言葉に反論できなかったのは。
きっとレンの声と表情が存外に優しかったから。
それと。
言葉と同時にあたしの頭をポンポンっと軽く撫でるレンの掌のせい。
それは、決してあたしを子供扱いしてのものじゃない。
「それから、そうゆう顔他の奴にするなよ?」
少し俯いていたあたしの顔を覗き込んできたレンの整った顔。
ち、近い………
カァァと自分でも顔が赤くなるのがわかった。
だって、レンはその辺のモデルなんかよりずっと格好良いと思うし。
そんな顔で覗き込まれたら誰だって真っ赤になるでしょ。