君と共に
「…ごめんなさいっ。」
私は一度安藤を見て、それから頭を深く下げた。
言ってくれるのは嬉しいけど。
あたしは自分から好きになった人としか付き合わないって決めてるから。
それでも、いつもは目を逸らさないで相手の言葉を聞いていた。
だって会話をするときは目を見て、って…基本でしょ?
それができないのは、さっき、ふと蘇って来た記憶のせい。
「……ん。わかった!じゃあなっ」
下げた頭の上から、明るい声が聞こえて顔を上げると、安藤は笑顔で去って行くところだった。
あたしも踵を返し、自分の席に戻る。
「いや~お疲れっ!まぁ座れよ」
「あんたが退いて!」
良いもん見れたといわんばかりの上機嫌で隣りの椅子を勧める一仁に、不機嫌な視線を送る。