君が眠れば
ひたりと近づく気配に彼は身震いする

がちゃがちゃと鎧を鳴らす音がする。

雄たけび、喧騒。
金属同士がぶつかり合う甲高い音に死神に取り付かれた最期の声。


近年、戦神にでもとり憑かれたのではないかと噂される北部エキドナの大群が、小国ガイアに攻め入った、というのがこの戦である。

ガイアは神の住む国として小さいながらも質素に栄えてきた国で、北部エキドナの蹂躙には聖戦と銘打って彼らは全面対決を望んだ。



「隊長、北部エキドナ軍が迫っています!」
「承知した。俺も出よう」



実際、聖戦というだけの大義名分がガイア側にはあった。

元素の神と呼ばれる神族では末端に位置するが『神』と呼ばれる彼らがこの戦に参戦しているのだ。

末端といえど神。

小国相手に北部エキドナが苦戦する理由は、そこにあった。

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