君が眠れば
息が吸えない。
キリキリと肺が痛む。
どくん、と大きく脈打つのは、心の臓。
ごぼり、と口から溢れる血潮に、ガラは内心で舌打ちした。
「ルー!」
そんな隙を誰が見逃すだろう。
好機とばかりに駆け出した敵将にけれど冷静に、ガラは腕を真っ直ぐ伸ばした。
左手で口を押さえたまま、筋肉を振り絞り上げられた腕に握られた長剣は、勢いを殺し損ねた男を、貫いた。
咽そうになる喉を無理やり押さえつけ、震える唇を強引に開く。
「敵将、討ち取ったり」
轟く声が、この地での戦いの終わりを告げた。
そしてその日を最後に、ガラ・ルーバーは戦場から姿を消した。